自虐小説、不思議発見、叫び。


by leartha

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「宇宙戦争」

c0021827_18572833.jpg 映画評は書かないつもりだったんだけど…。だって皆がすごく書いてるし、もう出来上がっちゃった物についてあれこれ言ったって、自分の欲求不満解消にしかならないし。おまけに誰にも読まれないブログじゃなおさらねぇ。ま、いっか。だって書きたい! この映画だけは!(って言いながら味しめんなよ)。
 
 「宇宙戦争」みたよ。私はH.G.ウェルズの原作は読んでないけど、先日、昔作られたモノクロの「宇宙戦争」を見てしまった!!。そもそもこれが間違いのモトかもね。どうもそれとダブっちゃってさ、映像は新しいのに何故か古くさく感じちゃったのよね。だっておおまかな内容は同じなんだもん。
 スピルバーグの名誉のためにいっとくけどさ (別にアンタがけなしたからって彼の名前にキズなんかつかないってば)、ビルが吹っ飛ばされたりガラスが割れて降ってくる臨場感は、前例を見ない程迫力満点!。圧巻だった!。主人公を、ただのどこにでもいるオヤジにしたのも現実味があって、さらに恐怖に追い打ちをかけてくれた。そしてこの、「地球滅亡の危機に、主人公をあえてヒーローにしなかった」点は、新しい切り口だといえる。もちろん前例がないわけではないけど。例えば「サイン」とか…。スピルバーグはおそらく、宇宙人が攻めてこようが「等身大の人間」を描こうとしたんだろう。「その時アナタは?」みたいな。
でも残念ながら、「ダメオヤジが親子の絆を取り戻す」というテーマと、「人類滅亡」というインパクトの強い見せ場、この二つのさじ加減を間違えちゃった様な気がする。

 これが小説ならいくらでも書きようがある。ページは増やせるし、あの時俺はあー思ったのこー思ったのって講釈たれまくれるし、過去にいくらでも遡れるし、挙げ句の果てに結末がビシッと決まらなくても、それなりに形になるから。でもこれは映画なのだ。主人公は、約2時間の間に「何かをやってくれる人」じゃなきゃ、やはり盛り上がりには欠けてしまうだろう。なのに…。
  
 もちろん、「アルマゲドン」や「ザ・コア」などの、判で押した様なヒーローが望ましい訳ではない。けど、たくさんあったじゃん?!「エセ」でもいいからヒーローになれるキーポイントが…。例えば、娘との会話で、「トゲは抜かなくても、人間には自然に体から出す力があるのよ」っていうやつ。これって十分に結末の複線になり得るセリフだったと思う。その上、彼らは宇宙人の子供みたいなヤツと接近までしたんだから(これは『未知との遭遇』で言うところの『第3種接近遭遇』だぞ!)、やっぱ格闘して、例えば腐りかけた木片でちょっと刺しただけなのに、感染症をおこして即死しちゃいました!とか…。こんな風にキャツラの弱点を発見した事にすれば、ただ家族を守りたいだけだったダメオヤジが、人類救済に一役買った事になるのに…のにのにノニジュース。いくら娘のためとは言え、いかれおやじ(しかもティム・ロビンス)を殺してる場合じゃないと。

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 それに、親子の問題のほうも解決していない。最も分かり合わなきゃいけない相手は息子だったはずでしょ?。なのに何で途中でいなくなっちゃうわけ?。「てめー! どこ行くんだよー!」って、思わず叫びそうになっちゃったよ。くわえて、命がけで娘を守り通したのに、元妻はたいして感謝もしてないんだか、あの淋しすぎるラストシーン・・・。
 
 結局、地球を救ったわけでもなきゃ、家族の愛を取り戻したわけでもなく、まるで蚊帳の外。これじゃ主人公とは言えないよ。だからトム・クルーズの魅力が全然光らなかった!。どうせここまで主人公を蔑ろにするんなら、いっそ元妻には会わずに帰ってほしかった。娘が母親の家へ向かって走って行き、主人公は何も言わず来た道を一人で戻っていく。背中に男の哀愁を漂わせながら…。ボロボロになった地球とボロボロになった一人の男、この2つがオーバーラップし、再建に向かっての第一歩を予感させるシーンにしてほしかった。
 とことん中途半端な映画になってしまいましたね。

 ただし、理屈ぬきに、主人公の身に起こったことに只ただ感情移入して見れば、ハラハラドキドキできるし、かなり快感は得られる。ジェットコースター・ムービーとしては最高でした。
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by leartha | 2005-08-03 19:03 | 映画評