自虐小説、不思議発見、叫び。


by leartha

羅亜佐も映画評書いちゃいました 2

「シンデレラマン」

 試写会の券が手に入って人より少し早く見ちゃったら、何だか映画評をかきたくなっちゃってさ。前の「宇宙戦争」だけでもう書かないって思ってたのに、とうとう禁断の果実をかじってしまったのね、私…。(だったら公開前に書けよ!)。


 芸能人が感想を言ってるテレビの宣伝を見ると、「シンデレラマン」は「感動できそうな、ボクシングを題材にした実話の映画化」らしい事が分かる。「ちょっと感想がざーとらしい!」かどうかは別として、まったくその通り。「こんな映画が見たい気分なの」と言う人には、きっと期待を裏切らない作品でしょう。
先に言ってしまうけど、ストーリーはちょっとお約束って感じかな?。そういう意味でも期待を裏切らないんだけどね。(……)。でも、ストーリー以外の要素に感動する点がたくさんあった。見どころはそっちだね。

  まず、時代背景がよく描かれていた。これは主人公(ジム)の人物像を表現する上では必要不可欠なんだけど、みごとに魅力的な人柄に出来上がっていた。
何よりも私が素敵だって思った事は、ジムと奥さんとの夫婦(男女)関係だ。時代としては大恐慌のただ中、国中が希望を失っていたかもしれないが、男と女が一番ステキな時代だったのかも…。男が「男としての強さ」を発揮でき、女が「女としての強さ」をしっかりと持っていた。現代モノにやたら出てくる、「自分の欲求」や「自分の主張」ばかりを強要する様な夫婦(男女)の間柄ではなく、「守るための強さ」「辛い時代を乗り越えるための夫婦(家族)の絆」がとても美しく、現代人の私には、斬新にさえ感じられた。
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 ジム自身の人となりも分かりやすい。どんなに辛い時でも「ウチはこれでも恵まれてるんだ」と、メゲない前向きな姿勢は好感が持てる。普段は穏やかだが、内に秘めた熱い闘志は、どんどんボクシングの観客に元気を与えていった。ラッセル・クロウの物静かな眼差しは、どんどん映画の観客を引きつけていった。

 と、ここまで褒めると100点満点みたいじゃん?!。ええ、もちろん、評判通りのいい映画よん。 ・け・ど、アタシ的には何かモノ足りない。パンチのない映画な気がした(パンチの数はやたら多いのにねぇ)。

 私は普段、一つの作品を他の似ている作品と比べる行為は、なるべくしない様に心がけている!。んだけど…、どうしても「ロッキー」がオーバーラップしてきちゃうんだよね。だから逆らわずに、あえて比べてみる事にした。そうすれば、何故この映画がモノ足りないのかが分かる気がしたから。
 正直言って、ラストで盛り上がったのは「ロッキー」の方だ。もちろんこの手の感情ってヤツはやっかいなもので、その時の心の状態に左右されるから、一概に「ロッキーの方が上」とは言えない。(第一「ロッキー」を見たときはもっと若かったしね。ぐふふふふ…)。けど感情を分析すれば、ツボらしきものは見えてくるはずだ。

 「シンデレラマン」のジムは、前述した様に、常に前向き人間だ。時代が時代だからその日を暮らしていくのも大変で、何度も挫折を味わうが、その度に果敢に乗り越えていくナイスガイだ。頼りがいのある夫であり父でもある。
 それに引き替えロッキーは、少ないファイトマネーと高利貸しの借金取りで生計を立てている、いわばアウトローである。貧乏なところはジムと同じだが、最も違う点は、彼の心の中が傷だらけな事。大きな迷路の中で方向を見失い、自分の価値さえ分かっていない状態なのだ。おそらく多くの人が、少なからずこんな感覚を持ちながら生活してるんじゃないかな?。間違いなく私はこっちタイプの人間だ。だからつい共感してしまったのだろう。

 つまりジムはイイヤツすぎた。というか、ジムの心の変化が分かりにくいし、内面をえぐって「弱み」を見せてくれない、そんなお行儀の良い映画なのだ。まるで小学生の時に読まされた伝記の様に、自分とはかけ離れた人間が主人公な訳で。だから私の様なひねくれ者には、イマイチ感情移入できなかったのだと思う。そこがモノ足りないと思った原因だろう。 
 もう1つ、「シンデレラマン」の残念な所は、ジムが日雇いの仕事で知り合った友人の存在(名前は忘れた)だ。すごく重要な役柄だと思うんだけど、この映画の中では、ジムに特に影響を与えた訳でもない気がした。この人を使って、ジムの内面を表現できたんじゃないかと思うと、もったいない。

 しかし、だからこそ「シンデレラマン」は、美しく出来上がっている。「ロッキー」のような泥臭さはない。ちなみに、はじめて「ロッキー」を見たとき、ロッキーとエイドリアンのファーストキスのシーンはちょっと「ゲッ!」って思っちゃった。
 
 ま、いろいろ書いちゃったけど、「感動できる」映画である事は、まーちがいない!。羅亜佐お薦めの一本でっす。  (占い:もし、「イマイチ物足りない」っておもったら、貴方も私と同類のひねくれ者でしょう。ヒヒヒヒヒヒ…)。
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by leartha | 2005-09-19 23:12 | 映画評